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Let's enjoy Mathematics

オンライン読書会@愛媛大学

教科書や専門書以外にも、小説や漫画を通して、気軽に数学に触れてみませんか?
今回は、2020年10月26日に愛媛大学理学部数学・数理情報コースにおいて行った、オンライン読書会の様子をレポートします。

◇課題図書:「数学ゴールデン 1」(藏丸竜彦、白泉社)
あらすじ(白泉社ホームページ より引用)
青春の全てを数学に捧げる小野田春一は、目標達成のため、周囲を遠ざけてきた。
彼の目標、それは「数学オリンピック」の日本代表――。
高校に入学した小野田はある日、同じく数学を愛する女の子・七瀬から声を掛けられる。
「数学、好きなの?」
数学がつなぐ出会いをきっかけに、孤独な日常が少しづつ輝き始め――!?
他人から無謀と言われる目標に、真摯に向き合い、探求し、開拓し、自らの世界を広げる――数学が大好きな少年少女たち!
努力する天才たちの祭典に挑む、これが純粋で熱い数学オリンピックの世界!!
 
◇参加者紹介
Hirose(以下、H):愛媛大学理学部数学・数理情報コース 1 年。好きな分野は微積分。

K (以下、K):愛媛大学理学部数学・数理情報コース 2 年。 数学はそんなに得意でないと思っている。

集合と位相の鬼 (以下、集):愛媛大学理学部数学・数理情報コース 2 年。 好きな数学者はカール・フリードリヒ・ガウス。最近はまっていることは線形代数。

Mouguly(以下、M):愛媛大学理学部数学科 3 年。 好きな分野は代数学。

 

—漫画の登場人物について、どう感じましたか?

:主人公(小野田春一)が人との関わりが得意でない感じで描かれていたので、数学ができる人に対してそういう偏見があるのかなと思いながら読んでいました。

M:周りと数学をやって実力が上がっていくというチームプレーには納得できるところがありました。主人公はめちゃくちゃ熱い男の子で、正直暑苦しいぐらいでしたが、数学が順調にいかないところは共感できました。

H:私も主人公にすごく共感しました。主人公はひらめきがちょっと欠ける感じで描かれていて、自分と同じだなと。それに対してヒロイン(七瀬)は天才肌で、そういう子に対して自分も憧れがあったので、嫉妬のような気持ちがすごくわかるなと思いました。

–主人公は高校生ですが、もしこの漫画を中高生のときに読んでいたらどう感じたと思いますか?

K:中高生のときに読んでいたら、もうちょっと数学に対する姿勢が変わっていたのかなと思いました。いくら考えてもわからないような問題があるということを知っていたら、数学との向き合い方ややる気が変わっていたのかなと思います。

:私は高校時代に読みたかったと思いました。コラムで、数学の分野は歴史上のあらゆる天才達が一生をかけて作り上げてきたものだ、ということが書いてあったんですが、高校時代に数学に挫折したタイミングでその言葉に出会えていたら、もっと人生が変わっていたかもしれないと思いました。

–今後あってほしい展開や、描かれてほしい内容はありますか?

:私の所属する数学・数理情報コースにS君というすごい人がいて、 彼のような人が出てきてくれたら面白いと思いました。(編集注:知識が豊富で、鋭い質問をする人だそうです。)

H:主人公のライバルが出てくるともっと面白くなるかなと思いました。自分が高校生のときは、男性の方が数学が得意だと言われたことがあって、なんかちょっと悔しいなあと…。それ以降、クラスの男子をライバル視していました。

K:コラムに(数学の)問題があって、証明も書いてくれていたんですが、そこがキャラクターの発言と絡めて書かれていたら、漫画の内容とも関連して読みやすいかなと思いました。

–この漫画における女性キャラクターの描かれ方についてはどう感じましたか?

H:中学の時に、立体の問題を解かせると男子の方が解けると言われたことがあって。男子の方が立体的に捉えるのが得意だから、数学向きっていうのはあながち間違いじゃないのかなと思っていました。でも数学ゴールデンだと、女の子の方が天才肌という描かれ方をしていて、自分が思っている感じと逆だったので、新しく感じました。

M:(男子の方が数学が得意?という意見について)私は男子だから得意というのは特に感じていませんでした。将来やりたい事の関係で理系選択する男子が多いだけだと思います。ただ私の体験では、数学科の女子なんて変だと言われたことはあります。漫画の中の女の子については、天才肌すぎて何とも言えないです。

–漫画の話から脱線しますが、みなさんが数学を好きになったきっかけは何でしょうか?

M:私は高校の先生がきっかけで数学が好きになりました。

K:小学生のころに公文式で問題を解いていたら、ずっと上の学年の問題が解けるようになって、そのときの喜びから好きになりました。

H:中学校の数学のテストで点数を落としてしまって、先生に「手を抜いたな」 と言われて。ショックで悔しくて、すごく勉強するようになってからはハマりまし た。

:大学1年生でε-δ論法を習った時に、今まで適当に片付けられていた極限とかを、論理的に厳密に定義の下で証明して行けるというのがすごく面白くて、どんどん好きになっていきました。

(しばらく、数学トークで盛り上がる)

–どうもありがとうございました。

 

他にもあります!数学漫画
◇「数学ガール 1」(原作:結城浩, イラスト:日坂水柯, KADOKAWA)
高校生の日常が舞台になっているため、読みやすい内容だと思いました。真面目なテトラちゃんのように数学の細かい部分が気になって、数学に興味があるけれど、あん まり人に聞けない……という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか? また天才肌のミルカさんも登場しますが、彼女もステップを踏んで話を進めていくため、読者もついていけるのではないかと思います。内容的には高校数学の内容が主となっているため、数学が好きな高校生はもちろん楽しんでいただけると思います。また数学を様々な言葉で表現しているため、数式が好きではない方や高校生でない方も読み物として楽しんでいただけると思います。(Mouguly

◇「数学女子 1」(安田まさえ, 竹書房)
数学科の女子として自分自身が思い当たる部分、数学科でない人に抱かれがちなイメージ、また大学生としてのあるあるなど、大学生の方にはかなり共感できる部分があると感じました。(数学科の男子の描かれ方には過剰演出があるので、あまり真に受けないでほしいです。)私も主人公と同じく、大学で数学を学んでいると、こんなこと分からないよとか、大学でこんなことがしたかったわけではないのにと感じることがありました。でも数学科に進んだことについて後悔したことは一度もないということに、特に共感しました。コミカルな内容でいろんな方に楽しんでいただける内容と思いますが、特に数学科の女子に読んでほしいです。(Mouguly

*この記事の執筆・編集には西尾雄貴氏(愛媛大学理工学研究科数理物質科学専攻 修士2年)にご協力いただきました。
 
※2021年4月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。

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