Wolfram Alpha
Wolfram Alpha というサイトを知っていますか。2009年5月に「計算知識エンジン(computational knowledge engine)」として公開が開始されたWolfram Alphaは、事実についての質問に対し、構造化されたデータを使って計算し答えを返す質問応答システムです。科学者であれば知らない人はいないMathematica (数式処理システム)を開発したWolfram 社が提供しています。アメリカの多くの中高生がWolfram Alphaを自宅学習に利用しています。
Wolframalpha のWebページ (https://www.wolframalpha.com) を開いてみると次のような画面が出てきます。
一見、Yahoo Japan や Google の検索画面と似ているように見えますが、知識計算エンジンという専門的な知識に特化した検索エンジンです。知識計算エンジンといってもあまりイメージが浮かばないかと思いますので、いくつか例を挙げて、Wolfram Alphaの楽しい活用法を紹介したいと思います。
早速triangle(三角形)をWolfram Alphaに入力して調べてみましょう! “ triangle ” を入力して enter キーを押すとこのようなページが表示されます。表示されたページには、検索した ” triangle ” に関する図形や数式が並びます。高さや面積、重心を表す式が出てきます。
続いて ” x^2+y^2=1 ” を始めの画面で入力してみます。” ^ ” の記号に慣れないかと思いますが、これは指数を表します。つまり ” x^2 ” は ” xの二乗 ” を表しています。この式は、みなさんがよく知っている円の方程式です。検索結果には、” circle ” (円)、円のグラフ、yの解などが並びます。
知識計算エンジンとは、専門的な知識に特化した検索エンジンで、入力した言葉に関する科学的な知識を答えてくれるというものなのです。
現在は英語のページしかありませんが、知っている単語や数式を入力して、その検索結果の数式を見て何を表しているのか想像することも楽しいですし、英語の勉強にもなります。そして、更にWolfram Alphaが面白いのは、知っていることを調べるだけでなく、方程式を変形させるとどうなるのか、立体図形なども描くことができる点です。
先ほどの円の方程式を少し変形させた式 ” x^2+y^3=1 ” を調べて見ましょう。そうするとこんな図形がでてきます。中学高校では、このような方程式は、取り扱いませんが、yの次数が上がるとこのようにグラフが変化することがすぐにわかります。
これらの結果は、“ x^2+y^2+z^2=1 ” , “ x^2+9y^2+4z^2=1 ” , “ x^2+y^2-z^2=1 ” を調べてみた結果です。これらの図形は、視点を変えて見ることもできますので、色んな角度から観察することができます。これら方程式も先ほどの円の方程式の様に次数を増やしたらどうなるのでしょうね。
他にも “ heart surface ” (ハートの曲面)と検索してみるとハートの形の図形とそれを表す方程式が表示されます。
“ pikachu ” と入力するとピカチュウのデータや “ pikachu curve ”(ピカチュウ曲線)などが検索結果に出てきます。” pikachu curve ” を検索してみるとピカチュウの絵を描く方程式を知ることができます。またポケモンのキャラクターについても詳細なデータがでてきますよ。
更に “ how many thursdays until Christmas day ” (クリスマスまで木曜日は何回?)、 “ 88 Aug 8 ” (1988年8月8日)なども検索すると簡単にカレンダーの計算やその日から何日経っているのか、何があった日なのか等答えてくれます。
現在は、英語のページだけですが、間も無く日本語のページも公表予定。楽しみです。 最後に、実はこのWolfram Alphaには、素敵な先輩が携わっていらっしゃいます。 奈良女子大学で博士号(理学)を取得後、東京大学生産技術研究所、イリノイ大学を経て、現在Wolfram 社にてSenior developer として世界でご活躍されている安井紀子さん。御専門は、低次元トポロジー、結び目理論。現在は、アメリカを拠点とされ仕事と子育てと楽しんでいらっしゃる姿はとても魅力的です。
(文責:嶽村智子)
※2018年1月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。
*2018年6月に日本語版(数学のみ)がリリースされました。ja.wolf