夏休みにオススメのコンテンツ
小中高校生向けの「夏休みにオススメのコンテンツ」と題して、算数や数学に関係する本、イベント、映画、動画をたくさ
①「直観幾何学【新装版】」 D・ヒルベルト 著、S・コーン=フォッセン 著、芹沢 正三 訳
②「幾何学ー発見的研究法 」(モノグラフ 26) 清宮 俊雄 著
二つとも私自身が高校・中学時代の今頃に楽しんだ、というのが大きな理由です。今見ても面白いテーマがたくさんあり、ほとんど数式無しで「眺める」ことができるのも嬉しいですね。
推薦者:森藤 紳哉(奈良女子大学研究院自然科学系数学領域 教授、研究分野は数学、特に解析学)
「身の回りのデータを集めてみませんか?」
意味があってもなくてもなんでもいいです。例えば、自分が毎日起きる時刻や寝る時刻。週2回の可燃ゴミの重さ。ベランダか玄関の毎日の午後1時や午後11時の気温。一日にトイレに行く回数、など。データを継続して記録することや集めることの意外な難しさに気づくかもしれません。集めたデータを見てあれこれ考えるのも楽しいですし、とにかく単に集めるだけでも経験になります。
推薦者:落合 啓之(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授、研究分野は代数解析学)
①「立体万華鏡」 布施 知子 著
②「ひし形立体とおもしろBOX」 布施 知子 著
①、②ともに折り紙の本です。小学3、4年のときにこの本を見て折り紙に夢中になりました。正四面体や正八面体や、ユニットを組み合わせて作る立体の作り方が載っています。ユニットは根気よく沢山作らなければなりませんが、最後に立体を組み立てるところに醍醐味(と難しさ)があると思います。工作が好きな人にお勧めします。
推薦者:中村 伊南沙(佐賀大学 理工学部 数理・情報部門 教授、研究分野はトポロジー)
「ドナルドのさんすうマジック」(DVD)
ウォルト・ディズニー・プロダクションによって1959年に制作された短編映画です。算数の国に迷い込んだドナルドが黄金比、ビリヤードなどに潜む数学的な構造についてを美しいアニメーションで紹介しています。古いアニメーションですがそこに込められたメッセージは決して古びていません。
推薦者:小林 毅(奈良女子大学理学部 教授、研究分野は位相幾何学)
『数学ガール』シリーズ 結城 浩 著
通っていた高校の図書室に(おそらく)唯一あった大学数学に触れられる本でした。中学生〜高校生たちが数学を自分でいろいろ試行錯誤しながら学んでいくという内容の小説形式の本でありながら、フェルマーの最終定理、ゲーデルの不完全性予想などを大学以上のレベルの数学をほぼ省略せず正確に、それでいて中高生にもわかりやすく扱っていて、すごく面白かったです。秀才で数学についてなんでも知ってる女の子や最初は数学があまり得意じゃないけど徐々に数学にハマっていく女の子など個性豊かな登場キャラクターが出てくるのですが、高校生当時は同年代だったこともあり、かなり感情移入して読んでいました。数学にちょっとでも興味がある中高生なら登場キャラクターに共感できる箇所があると思います!
推薦者:今井 湖都(東京大学大学院数理科学研究科 博士課程3年、研究分野は数論幾何)
「天地明察」 沖方 丁 著
この本では、誰かと学びを深める楽しさ・没頭して夢中で考える楽しさ・間違える楽しさといった学ぶ上で大切な要素が、様々な場面で描かれています。ストーリーとしても数学が苦手な方でも、人間ドラマとして読むことの出来る面白さなので、お手にとって読んでみてください。また、活字を読むのが苦手な方でも様々な媒体(漫画や映画)から見る事が出来るので機会があれば是非お楽しみください。
推薦者:匿名希望(琉球大学 教育学部 3年次、研究分野は数学教育)
①「アートで魅せる数学の世界」 岡本 健太郎 著
②「数学の世界地図」 古賀 真輝 著
上の二つは、私が最近購入した本です。「アートで魅せる数学の世界」は、数学の話題に触れながら実際にエクセルを使って様々な曲線を描く方法も紹介されています。私も実際にクロソイド曲線を書いてみました。芸術的でもあり、数学的にも読み応えのあるとてもおすすめの本です。「数学の世界地図」は、広大な数学の世界をわかりやすく見渡せるように書かれた本で、大変興味深いものです。数学の広がりを感じられる本になっているので、一度手にとってみることをお勧めします。
推薦者:嶽村 智子(奈良女子大学 理学部 数物科学科 准教授、研究分野は確率論)
以前ご紹介した「冬休みにオススメの本、絵本」も併せてご覧ください。→Part1、Part2
※2023年8月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。