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この文章を書いたのは?

津田塾大学大学院 理学研究科数学専攻 修士課程1年
(参加当時、同大学学芸学部数学科4年)

中村 樹

「女子学部生サマーキャンプ企画検討会・交流会」に参加して

皆さんこんにちは!初めて数理女子に寄稿をさせていただきます、津田塾大学大学院修士1年の中村樹です。

 

記事のタイトルをご覧いただいた時、「女子学部生サマーキャンプってなんだろう?」と思われた方が大半だと思いますので、まずは言葉の定義から始めましょう!

このサマーキャンプは、女子学部生が大学院生・教員・社会人と一緒に、大学院進学やその後のキャリアについて考えることを目的とするイベントです。キャンプ当日のプログラムは、教員・社会人によるパネルディスカッション、メンタリング、夜ゼミ、個別相談会、BBQ、ポスター発表などが予定されています。

 

2024年3月8日(金)、東京都の日本橋にある理化学研究所革新知能統合研究センター(通称・理研AIP)にて、サマーキャンプに向けた企画検討会と交流会が開催されました。この記事ではキャンプがどのように企画されたのか、参加した筆者が何を感じ、何を考えたのかを記述したいと思います。

 

10時に始まった企画検討会は、主催者による企画の背景や趣旨についてのお話から始まりました。日本における数理情報系の大学や大学院に進学する女性の割合が極端に少ないこと、そのために「いつか」ではなく「今、ここから」動き出さなければならないというお話を伺って、胸が熱くなったのを覚えています。

 

午前の部では「なぜ数理情報系の学部・大学院に進学する女性が少ないのか?」という問いの答えを探るべく、「大学院・専攻」「キャリア」「(女子学生の間の)ネットワーク」の3つのテーマで議論します。サマーキャンプ当日にどのようなプログラムを行えば良いかなども話し合い、面白そうな案の数々に、楽しい時間を過ごすことができました。

サマーキャンプの企画についての討論会の後は、お楽しみのランチタイムの時間!理研AIPの会議室やフリースペースで、思い思いに団欒する姿が見られました。私は先生方や先輩方とご一緒させていただき、将来、日本学術振興会・特別研究員(学振)になるための申請手続きや、キャリアの築き方についてなど、ためになるお話をたくさん伺えました。身の回りに学振について気軽にお話を伺える方があまりいらっしゃらないので、私にとってはとても貴重なエピソードでした。

ちなみに日本学術振興会とは、学術の振興を目的とする、文部科学省所管の資金配分機関です。特別研究員は、博士課程の学生や、博士課程を修了した若手研究者に、自由な発想のもと研究課題などを選びながら、研究に専念する機会を与える制度です。自身が行いたい研究計画をもとに申請書類を作成し、審査を通れば採択されるポジションです。

午後は参加者による口頭発表とポスター発表の時間だったのですが、その雰囲気が普段参加している数学の研究集会の雰囲気と同じだったことがとても印象的でした。いつも出ている集会は参加者の9割以上が男性で、女性は極端に少ないです。けれど、今回のイベントでもいつもの研究集会でも、そこにいるのは「学問を究める人々」であって、その姿勢や真理に向かう表情に、性別は一切関係ないのだということを実感しました

 

私はポスター発表に「p進数体Q_pの或る有限次拡大の分岐の計算」というタイトルで参加しました。ポスター発表は初めてだったのですが、先輩方や先生方からたくさんのフィードバックをいただけたことがとても嬉しかったです!「研究が深まっていく」時間はものすごく刺激的で、研究意欲をより一層掻き立てられました。

 

3月に「好きな学問」で繋がった縁は、この記事を執筆している今も、細く長く続いています。ポスター発表の後も数学の話が尽きず、「〇〇に興味があって……」「こんなことを勉強/研究したくて……」という会話が飛び交っていましたし、実際私はそこで仲良くなった方々と自主ゼミ(勉強会)をしたり、研究集会で再会した際には一緒にご飯を食べに行ったりしました。

自分のキャリアについて考えたり、先輩や先生からお話を伺えたり、不安について共有したりすることはとても有意義な時間です。けれど、私がこのイベントで得られた何よりのものは、「数学」を通した人との繋がりでした。もし数理情報系に進みたいと考えている女子学部生の方がいらしたら、是非サマーキャンプに来ていただきたいです。きっと、素敵な仲間と出会えると思います。性別に捉われることなく、全ての人が、好きな学問を自由に志せる社会になってほしい。そのような社会の構成員になる第一歩を、一緒に踏み出すことができたらとても嬉しいです。

※2024年10月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。
※2024年度のサマーキャンプの申し込みは終了しております。

 

著者略歴

津田塾大学大学院 理学研究科数学専攻 修士課程1年
(参加当時、同大学学芸学部数学科4年)
中村 樹
専門:整数論
趣味:数学以外だと、お料理、お散歩、読書、音楽(演奏も鑑賞も)、爆食動画を見る!etc.

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