女子大での数学研究
記事をご覧の皆様、初めまして。津田塾大学大学院理学研究科数学専攻後期博士課程2年の渡邉南と申します。今回は女子大で数学の研究をしている一学生の生活などをご紹介したいと思います。
学部生の時など
私は栃木県出身で、現在までずっと実家に暮らしています(一人暮らし代を浮かせるためでした)。大学までは片道2時間半で、特に1限がある日は、冬になると太陽が昇る前に駅について、電車から朝日を眺めていました。電車内時間が長いため、数学書に折りたたんだルーズリーフを数枚挟んで、フリクションボールペンで勉強していました(こうすると場所は取りませんし、消しゴムを使わないので、周りの人に迷惑をかけなくて済むのでオススメです。iPadを購入してからは、やめていますが)。学部生の頃の思い出としては、進級試験が一番に思い浮かびます。私の大学の数学科には3年次に進級試験があり、それに合格しなければ4年生になれないため、空きコマや放課後に友人と必死に勉強していたのが良い思い出です。このように、あまり華やかな大学生活を送っていないため、人によってはつまらないキャンパスライフかもしれませんが、個人的には一人の時間がたくさんあって楽しかったです。
数学科に来た理由など
私は中高生の時から数学を好きになり(他の科目よりできるという程度でしたが)高校生の時は、高校生向きのシュレディンガー方程式や整数論などの数学に関する書籍を読むことが好きでした。それから、将来は数学の高校教員になろうと考え、数学科に進み、大学生からは数学の専門的な本を興味の赴くまま読み進めていました。大学の授業で初めて微分方程式について学んだときは、高校生の時に苦手だった物理とも関わりがある方程式たちに特に興味を抱いて、それからは解析学に関する本を読むようになりました。そのとき、熱方程式の解の挙動をよく知られている解の表現(熱核を用いたもの)を用いることなく考察している文献と出会い、学部生の時はそれを読み進めていました。
大学院での生活など
まず、私が所属している大学院について簡単にご紹介します。私の大学は、小規模の女子大学であるため、数学専攻の募集人員は、修士課程は5人、博士課程は2人と、とても少ないです。実際、今は数学専攻の博士課程の学生は私1人で、先輩も後輩もいない状態です。修士課程は数人いますが、所謂コロナ禍になってからは、院生室に学生が来ることは殆どなく、いつも一人で篭っています。
私は先述したように微分方程式に興味を持ち、大学院に進学し、現在はそれに関する研究をしています。具体的には、非線形シュレディンガー方程式の解の大域挙動を初期値で分類することを目標とした研究をしています。非線形シュレディンガー方程式とは、光ファイバー中のパルス波を記述するモデルとして知られていて、現在まで盛んに研究されている方程式の一つです。博士課程になってからは、週に一度セミナーがあり、現在の研究の進捗について発表して、できなかったところについてご助言をいただく形で進めています。また昨年から、理化学研究所のJRA(Junior Research Associate)となり、そちらの研究にも参加し、自分の研究について発表したり、他の方の研究成果や研究活動についての発表を聞いています。また、今年度からは都内の高専で非常勤を始めて、授業をすることの難しさに四苦八苦しながら経験を積んでいます。
まとめ
私は女子大にいたので、数学をやっている女性が少ないとは思っていませんでしたが、やはり外を見ると圧倒的に少なく感じます。女性がもっと増えて、一緒に数学についてお話できたら嬉しいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
※2021年11月掲載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。
著者略歴
趣味は漫画(ジョジョが好き)、ガンプラ。
写真は飼っている猫(マコ)です。